急性心筋梗塞の体験記
表紙写真

急性心筋梗塞の体験記です。

2010年12月27日(月)

その日は、いつも通りの朝を迎え朝食を済ませ頼まれていた姪の用事のため家を出たのがお昼前。
20年来の相棒である赤いカローラの助手席に兄を乗せ私が市役所まで運転して到着。

兄と話しながら階段を上り建物のドアを開けて10歩も歩いたでしょうか。。。
『なんだか・・・気分が悪い・・・』
近くに設置されていた椅子に倒れ込むように腰かけたとたん意識が遠のきました。


急性心筋梗塞でした。

一口に心筋梗塞といっても発作を起こした時の身体の状態は人それぞれのようで、
時間的に少し余裕がある場合と、待った無しのほんの数時間が生死を分かつような場合があるようです。

入院中に同室だった人はなんとなく調子が悪くて受診したら発見されたそうです。
おまけに過去に心筋梗塞を起こしていた痕跡まであったそうです。
今まで身体がつらくても原因が分からずに過ごしてきたということでした。


卓球仲間の中にも練習中に気分が悪くなり練習を切り上げて帰宅。
どうにも胸が苦しくて具合が悪いので2日経過後に受診したら心筋梗塞で即入院となった例もあります。

【痛みの無いのは・・・?】

私の場合は感謝状を頂くほど献血にも協力してきたし、日常生活では今回の突然雷に打たれたかのような激しい心筋梗塞が起きるまで何の自覚症状もなく、好きな水泳や卓球に温泉、旅行と元気に過してきました。


このようなまったく無症状の心筋梗塞のことを、「無痛性心筋梗塞」 または 「無症候性心筋梗塞」 というのだそうです。


胸痛がないため、心筋梗塞が発見された段階ではすでに重度の不整脈や心不全になっていることがあるとか。。。
まさしく、私がこのタイプでした。


最初に意識を失ってからのことは断片的にしか覚えていませんが、
今も脳裏に鮮明に焼きついている体験を順を追って書き残しておこうと思います。


2010年12月27日

御用納めを明日に控えた市役所に急ぎの用事で出向きました。
車を降り階段を上り玄関入口を入ったとたん急に気分が悪くなり近くの椅子に倒れ込むと同時に意識がなくなりました。


■ 市役所の保健婦さんらしき女性が 『脈がとれません!!!』 と大声で騒いでいる声を聞きながら再び意識が遠のいていきます。

■ 救急車のストレッチャーに乗せられているようで、隊員の方が 『大阪南医療センターへ搬送します。』 と話している声が遠くに聞こえ身体の自由がきかず声もでません。

■ 救急車の中では意識を失ったり気がついたりを繰り返しました。
手の指先から上腕へと冷たく凍っていくような感覚に襲われ瞼も開けられず身体も動かせません。

息を吐くばかりで空気が肺に入って来ないことも。苦しくて自分が発する “うー” と細く長い唸り声を聞きながら次第に意識が遠のいていきました。

■ いつの間にか病院に到着したらしく、口の中に錠剤を1粒入れられ 『噛んで、噛んで、大事なお薬だから、噛んで!』 と耳元で叫び続けている声で意識が戻り 『ガリッ!』 と噛むと 『よし、噛んだ、噛んだ!』 と安堵した声が聞こえました。

■ その間も、何人もの人に取り囲まれていてアチコチから手が伸び着ていた服を鋏で切られ布を被せられて手術室へ。

■ ストレッチャーの周りを数人に取り囲まれながら廊下を疾走していました。

■ 途中で猛烈に気分が悪くなり顔を横向きにした途端に口から液体が溢れ出し、2度、3度と続けて吐いたあと、とうとうそのまま手術室に着く前に完全に気を失いました。

■ 再び意識が戻ったのは、カテーテル手術も終わりに近づいたころでした。
胸の奥の苦しいところを何かで吸い取ってもらってるような感じです。
吸い取られるたびにスーっと気分がよくなり朦朧としていた意識がだんだんハッキリしてきました。

■ すべての処置が終わりお医者さまが耳元で 『心筋梗塞を起こしていました。しばらく入院して頂きますね。』 とニッコリ笑われました。あの時の先生の優しく慈愛に満ちた笑顔は生涯忘れることはないでしょう。


 そして、心臓の冠動脈にステントとよばれる金属性の網状の管を1つ入れたということなど手術についての説明やこれからの治療方針など手短に説明を受けました。

手術は4時間ほどかけて行われたということです。

◆ ゴロゴロとストレッチャーは、今度はゆっくり集中治療室へと向かいました。

  

まるで白昼夢をみているような頼りない感じ。


まさか、この私が突然思いもよらぬ急性心筋梗塞になるなんて・・・!

★ 私のカテーテル手術は左足の付け根の辺りを少し切開してそこから動脈血管を通ってカテーテルを心臓まで伸ばしたんだそうです。
手術後も再発に備えて管はそのまま体内に残され最低3日間は足を曲げないで下さいと厳命が。
カテーテルはとても繊細な管なので身体を動かしたり足を曲げると壊れてしまうんだそうです。
うっかり動こうものなら気配を察した看護師さんが飛んできます。
でも、どうしても無意識に動きそうになるので足首をベッドに括り付けてもらいました。
私が自分で動いたことに気付く程度に包帯で柔らかく結んでくれていました。

★ 両腕には動脈点滴などの針が刺さり、鼻にも酸素吸入の管がありベッドに張付け状態です。
床ずれができないように1日に何回も右に左にとクッションがあてがわれました。
熱が出たので氷を脇の下に抱き、お腹周りや両太ももに赤くて痒い湿疹も出たけれど原因不明なので塗り薬だけでひたすらじっと我慢の3日間です。

★ 手術後の経過が良好なので予定通り4日目に体内に残したままのカテーテルを引き抜く手術を受けました。管を通すだけのごく僅かな切り口なのに投薬の影響か出血が止まらず少し貧血気味になるほどでした。(この後、数日間貧血を改善する薬が投与されました。)

◎ この日からやっと自由に寝返りがうてるように。
でも、まだまだ 『絶対安静』 は続きます。


心筋梗塞を起こした直後の心臓はお豆腐のようにもろくなっているんだとか。。。
そして一度壊れた(壊死)部分の心筋は二度と元に戻ることはないのだそうです。
明日は大晦日。

◆ 私がいた心臓集中治療室【CCU】には両サイドがパネルで仕切られたベッドが6つありオープンの足元は全ベッドが看護師さん達が集まっている方向に向けられていました。
外から救急車のサイレンの音が聞こえてくると時々部屋は俄かに慌ただしくなりしばらくするとベッドに新たな住人が加わります。
中にはお医者さまや看護師さんの必死の手当てもむなしく亡くなってしまわれる方もいてご家族のすすり泣く声が身につまされました。

★ 集中治療室に入って8日目に初めてベッドから下りて左右を看護師さんとお医者さまに付き添われて点滴吊り棒?につかまりながら部屋の中を端から端まで往復歩くことができました。
呼吸も乱れずに歩くことできたので様子をみて集中治療室から一般病室へ移れる日も近いとか。

☆ 10日間を心臓集中治療室【CCU】で過し、合計28日間の入院でめでたく退院となりました。

☆ 退院後は月に1度の外来受診と半年経過後に1泊の入院をして、心臓カテーテル(手首から)、心エコー、心電図などの検査がありました。
順調に回復していたので次からは2ヶ月に1度の外来受診です。


☆ 心臓カテーテル手術から1年経ち、これ以降は投薬のみの外来受診となるので家の近くのかかりつけ医への転院を勧められ紹介状を頂きました。

一般的に急性心筋梗塞を起こしたらできるだけ早く適切な治療を受けないと死に至る場合が多いそうです。

私が心筋梗塞を起こして倒れた場所が市役所でその隣が消防署でした。
連絡を受けた救急車が到着するまで2〜3分。
市役所から循環器科がある病院まで10分足らず・・・
心臓発作を起こしてからカテーテル手術を受けるまで1時間もかからなかったそうです。
発作を起こした日が12月27日という病院がお正月休みに入る直前だったことも運がよかったといえます。

幸いにも倒れた時に傍にいて全ての面倒な手続きをしてくれた兄、仕事中なのに駆けつけて入院支度を整えたりやり残した雑事を始末してくれた弟とその家族、洗濯や買い物を引き受けてくれた友人、救急隊員の方、病院のお医者さまや看護師さんなど他にも陰で支えてくださった大勢の人達に感謝せずにはいられません。

心筋梗塞を起こした直後は 『周りの誰かが大声で呼びかける声に導かれるように目を覚ましてはまた闇の奥深くに沈んでいく・・・!』 そんなことを何度も何度も繰り返していたように思います。

今こうして体験談を書いていることが夢のようです

最後に弟がその時の私の様子をマイ・ブログに書き残してくれていたので抜粋転記しておきます。

覚書

■ 昼前に兄から携帯にめずらしく電話が入る! 姉が市役所で倒れて、病院に搬送されたと・・・

■ 搬送先はかつて勤務した病院だったので、情報収集のため知り合いに連絡! その時は既にカテ室に入室!

■ 丁度、その日は車で出勤していたので搬送先の病院に向かう!

■ 兄と合流し、カテが終了するのを待つが・・・ なかなか出てこない! 

■ 嫌な感じが頭によぎる・・・ カテ室にも勤務した経験上、あまりに遅いので病棟看護師に聞いても、もうすぐ帰ってきますからの一点張り!

■ 結局、普通の倍の時間、4時間をかけてやっと病棟に戻ってきた・・・ 顔を見て、ちょっと安堵!

■ 主治医からの説明を受けるが、やっぱり、かなり手こずったよう! 風船のカテーテルで血管を広げてもすぐに血栓が付着し、血管を塞いでしまった様です。

■ 一旦、カテ室を出室しかかったようだが、また、心電図変化がおこり、カテ室に再度入室したとのこと! そんなこんなですったもんだして、4時間も要したようだ!

■ こうゆうたちの悪い心筋梗塞の患者はたまにいて、医者泣かせだ! でも、辛抱強く治療をしていただいたお蔭で九死に一生を得た!

■ 待ち時間の間に、知り合いにも手伝ってもらって入院セットを準備する。

■ その後、集中治療室に入院となったので兄と帰宅! 姉の車が市役所に置きぱなしになっていたので、先ずは市役所に立ち寄って車を回収!

■ 実家にもどり、兄と今後のことを話して自宅に戻ることにする。長い一日だった・・・

■ そうそう、姉の服を病棟看護師から戻されたが、ハサミで切り刻んであり使いものにならない・・・ 捨ててくれればと思ったが、ありがたく頂戴する! まあ、修羅場の状況がよく理解できた!

家族には、長い一日・・・
私には、ほんの一瞬の出来事でした。(*^。^*)v